Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「さア」

「親分――外にも浅川団七郎の顔を見た者がありますよ」

ガラッ八は横合から口を出しました。

「誰だい」

「そいつは滅多に言われませんよ、半襟一と掛け奢る約束で聞込んだネタで」

「大層奮みゃがったな」

「それほどでもねえが――」

「ハッハッハッ」

平次はなんとはなしに空を仰いで笑いました。初冬の空は申分なく澄みきって、夕陽はもう目白の林に落ちかかっております。

五

寅吉の女房にも逢ってみましたが、これは嫉妬と心配で半病人のようになっているだけで、何の役にも立ちません。

最後にもういちどお小夜の家へ平次と八五郎と、三つ股の源吉と、越後屋の兼松と立ち寄りました。

お米の言葉と、源吉の調べとを併せて、もういちど平次の頭で整理してみましたが、下手人はお小夜の知己で、木戸を開けて狭い庭から通して貰って、一気にお小夜を殺して帰ったというほかには何の手掛りもありません。

十二三ヶ所の傷だったと言いますが、ツイ近所の人も、宵のうちの人殺し騒ぎを知らなかったところを見ると、多分最初の一撃で致命的な傷を与え、声を出す力も騒ぐ力もなくなったものでしょう。そう考えるとやはり、下手人は明日の庵室入りをくい止めようとする、必死の怨みか妬みを持ったものという事になります。