Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
店の奥から我慢のならぬ注を入れたのは、年上らしい女房のお秋でした。これは頑強で、真っ黒で、牝牛のような感じの女です。
「お前は黙って引っ込んでいろ、――親分方の前じゃないか、馬鹿ッ」
皆次は精いっぱい亭主の威厳を示すのでした。
「その浪人者があの晩も顔を隠して、この路地へ入って来たそうだが――」
「少しも気が付きませんよ、親分さん」
「それじゃ、あの晩、この路地を誰と誰が通ったんだ」
と平次。
「地主の寅吉さんは通りました。それから下女のお米さんが表の湯へ行って帰って、――そこにいらっしゃる兼松さんも、ちょっと覗いてそのまま帰った様子でしたが」
それだけ見張っていれば、女房のお秋が嫉妬を焼くのも無理のないことです。
「人一人殺されるというのに、物音も何にも聞えなかったのか」
「お米さんが湯へ行くと間もなく、私の方も店を閉めてしまいました。目白の鐘が亥刻(十時)を打つと、いつでもそうするのですが――」
「それじゃその後で下手人が来たのかも知れないな」
「そんな事かもわかりません」
「お前さんは外へ出なかったかい」
「出やしません。女房や小僧にも訊いて下さい、――お小夜さんはあの通り綺麗だったから、いろいろ罪を持っている様子でしたが、私などには振り向いてもくれません」