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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

ね、親分」

「イヤにニヤニヤするじゃないか、それとも十万両もあったというのかい。こちとらから見れば十万両は夢のような大金だが、上総屋なら」

平次はガラッ八に焦らされると知って、忌々しくも煙草入を抜いて一服つけました。

「もっともこちとらに十万両もあった日にゃ、あっしはさっそく十手捕縄と縁を切って――」

ガラッ八の話は、また妙なところへ飛躍して行きます。

「金貸にでもなって懐ろ手で暮すつもりだろうが、そうは問屋が卸さないよ」

「そんなサモしい根性じゃありませんよ。まず山の手の百姓地を五六万坪買って――」

「大きく出やがったな、人参牛蒡でも作る気になったか」

「大違い、――親分に植木屋を始めて貰って、あっしはそれを江戸の縁日へ持出して売る」

「馬鹿だなア」

平次は仕様ことなしに苦笑をしました。そんな気でいる八五郎の心根が哀れでもあったのです。

「ね、親分。冗談は冗談として、上総屋の話だが、――誰でも一応は万と纏まった金があるに違いないと思うでしょう」

「それがどうした」

「死んでしまった後で、番頭や親類の者が、熊鷹眼で捜したが、不思議なことにあるものは借金ばかり。何万とあるはずの金が、たった十両もないと聴いたら驚くでしょう」