Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
四
髯の跡青く、受け口にて、前歯二本欠け落ちたり。右耳朶に小豆粒ほどの黒子あり。言葉は中国訛り。声小にして、至って穏やかなり――
「こいつは留助の人相書だぜ、親分」
八五郎は覗きながら、水茶屋の親爺の死骸と見比べます。
「その通りさ」
「留助は自分の人相書を、土竈の中へ入れて置いたんでしょうか」
「それは解らねえが、とにかく、昨日この店へ入って、自分の懐の中ばかり覗いている若い男があったろう」
「親分が――親の大金を持出した息子――と見立てた」
「この若い男の懐の中に、この人相書があったのさ」
「それじゃ下手人は判ったようなものじゃありませんか、親分、早く挙げてしまいましょう」
「待て待て、逃げも隠れもする相手じゃねえ。それより、調べるだけここを調べて行こう」
平次は落着き払って四方を眺めました。店の先にはもう、野次馬が一杯に立っております。
四
「お秀、隠さずに言ってくれ」
平次はいきなり、涙一滴こぼさぬ娘のお秀に声を掛けました。勝気なお秀は、激情と悲嘆を押し包んで、焼金のような猛烈な復讐心を眼一パイに燃やしつづけているのです。
「何を隠すもんですか」
「それじゃ訊くが、お前の父親留助、――実は浅野様家中の鳴川留之丞が国許を退転したのは、たしか十二年前だったね」