Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
平次はガラッ八の方を振り返って無造作にこう言うのです。
「ヘエ――」
「変な顔をするなよ。――お艶の家が判らないって言うんだろう。馬鹿だなア、――先刻旦那がそう言ったじゃないか、そんなことは奉公人が知っているものだ――とね」
「なア――る」
「間違いがあっちゃならねえ。飛んで行くんだぜ」
「合点ッ――だがね、一つだけ言っておきてえことがあるんだが」
「なんだい、早く申上げてしまいな」
「今朝この囲いの中で、女物の櫛を拾いましたよ」
「どこにあるんだ」
「これですよ、あっしが拾ったんで」
八五郎は懐紙に包んだ黄楊の梳き櫛を一つ、平次の手に載せました。
「何だ、早くそう言やいいのに。こんなものを温めておく奴があるもんか」
「それからもう一つ」
「文句の多い野郎だな」
「あっしが親分を迎いに行っている間に、お神楽の清吉が来て、さんざんかき廻して行ったそうですよ」
「そんな事はどうだっていいじゃないか」
「ヘエ――」
ガラッ八が飛び出すと、平次は囲いの中へ入って行きました。
六畳の半分をひたす血の海の中に俯向きになっている梅吉の死骸を引起してみると、二十七八の小肥りの男で、脇差で横から首筋を縫われ、そのまま前へのめったらしく、急所の深傷に、声も立てずに死んだ様子です。