Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
六
「幾太郎でもなく内儀のお篠でないとすると、あとはお仲と三郎兵衛と、佐助とお栄とお桃だけじゃないか」
「私じゃありませんよ、親分」
お仲は顔を挙げました。
「よしよしよっぽど命が惜しいと見えるな。その心持で、人様なんかを無実の罪に落しちゃならねえ。櫛が俺の手へ入ったからいいようなものの、でもなきゃ」
平次は苦笑いしました。これがお神楽の清吉の手にでも入っていたら、今頃お篠はどうなっていたか判りません。
「親分、こんどは何をやらかしゃいいんで――?」
「夜になるのを待つんだ。――幾太郎が縛られたことは、まだ黙っているがいい。検屍が済んだ上でまた考えようがあるだろうよ」
平次はまだ高い陽を仰いで、こう言うのでした。
六
「親分、お茶が入りました」
検屍が済んで、妙に長い日を持て余したように、平次と八五郎がウロウロしていると、転婆娘のお栄が奥の方から燃え上がるような派手な声を掛けるのでした。
「有難う。――八、一服やろうか」
平次は八五郎を顧みて、気楽な親類の家へ来ているように、奥の一と間に入って行きました。
「親分、何にもないが、まず一服やって下さい」
主人の三郎兵衛は、娘のお栄と、倅の許嫁のお桃にお茶を入れさせたり、結構な菓子を出させたり、ひどく打ち解けた様子で迎えてくれます。