Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「有難うございます。それじゃ遠慮なくいただきますよ」

平次は渋い茶を呑んで、菓子をつまみながら、相手の出ようを待っておりました。

「親分、倅が見付かったそうじゃありませんか」

「え、その上、お神楽の清吉が縛ったそうで。あの男はなかなか容赦しませんよ」

平次の調子は妙に人を焦立たせます。

「その事について、親分に聴いて貰いたいことがあるんだが――」

「…………」

「実は倅が梅吉に身代りを頼んで囲いを抜け出すのは昨夜に限ったことじゃないそうで、今までもちょいちょいやっているそうですよ」

「誰がそんな事に気が付いていました」

平次は静かに問い返しました。

「これですよ。黙っているから、何にも知らずにいると思うと、女はやはり気が廻るんだね――」

半分は独り言のように呟きながら、三郎兵衛の指は、軽くうな垂れたお桃を指すのです。

「お桃さんが知っていたんですね」

「ゆうべも倅が梅吉と相談しているのを、これが、風呂場で聴いたそうですよ。――だから梅吉を殺したのは、倅じゃないということになりゃしませんか。倅がわざわざ身代りに頼んだ人間を、自分が入っているはずの囲いの中で殺すはずはない――」