Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.244 Zeichen · 231 Bildschirme
四
「馬鹿野郎ッ」
ガラッ八の掌は、したたかに音松の頬に鳴りました。あまりにも下劣な話に、正直者の八五郎は向っ腹を立てたのでしょう。
「八、黙って聴け。――ところで、その辻斬の風体人相はどうだ」
平次はガラッ八をたしなめて、肝腎の問いを持出します。
「それが、少しも解らないから不思議じゃありませんか」
「背が高いとか、低いとか、年を取っているとか、若いとか」
「高いような低いような、若いような年を取っているような、――何しろ真っ暗なときでなきゃ出て来ません」
音松の話は頼りないものです。
「それでは後を跟ける見当もつくまい」
「勘でわかりますよ。――それから――」
「それから?」
「衣摺れの音がします。近く寄るとサヤサヤと――」
「贅沢な辻斬だな」
さやさやと衣摺れの音が聞えるのは、羽二重か甲斐絹か精好か綸子でなければなりません。
「親分」
ガラッ八も一脈の不安に襲われます。かつて三代将軍家光が夜な夜な辻斬に出て、大久保彦左衛門にたしなめられたという伝説的な話さえ伝わっております。江戸の街の夜の秘密は何を包んでいるか分りません。ことによれば、それは大名の世子、大旗本の次男三男といった、縛ることもどうすることも出来ない人間でないと誰が保証するでしょう。