Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.244 Zeichen · 231 Bildschirme
二
それからものの煙草を二三服吸うほど経って、土蔵の方から、何やら聞えたようにも思いますが、孫三郎もそこまでは判然わかりません。
やがて、ワッと押し潰されたような恐ろしい声を聴くと、孫三郎は事態の容易ならぬを直覚して、弾き上げられたように飛び起きました。
開け放したままの裏口から跣足で飛び出した孫三郎は、ようやく屋根の波を離れた遅い月の光の中に、
「あッ、父さん」
紅に染んで土蔵の前に倒れている、父親の孫六を抱き起していたのです。それは実に一瞬の間に起った大動乱でした。
「父さん、どうしたんです。誰がこんなことを――」
倅孫三郎の腕の中に、辛くも挙げた孫六の顔は、月の光の中ながら藍を刷いたよう、自分の脇差に胸を貫かれて、もはや頼み少ない姿です。
「父さん、しっかりして下さい。誰がこんなことしたんです。誰が、どこの誰が、父さん」
そう言う孫三郎の顔を、死に行く父親の眼は凝と見詰めました。
「逃げたよ、――よその人だ、――あの男だ」
「どこへ逃げたんです」
孫三郎は逃げた曲者を追おうとしましたが、自分の腕の中に、死んで行く父親の姿を見ると、それもならずに立ち縮みます。