Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
一人の男の子で、二十三になる清次郎というのを、杖とも柱とも頼む贅沢なうちにも淋しい生活でした。
もっとも親類から預かったお房という二十歳の娘があり、世間ではそれを清次郎に娶合せることとばかり思い込んでおりましたが、どうしたことかそんな様子もなく、半年ほど前から清水家に掛り人になっている、お夏という十八になる娘と、この秋は祝言させるということに話が決っているのでした。
「江戸の町方のお方?――そうですか。私は和助、倅の行方を突き止めて下すって、無事に戻りさえすれば、お礼はどんなにでもします。どうぞ、一と骨折ってみて下さい」
主人の和助は、喜八、平次の二人を迎えてこんな事を言うのです。五十前後の脂の乗った中老人で、物欲の旺盛らしいのと、何事も金で始末の出来ないものはないと思い込んでいる様子で、ひどく平次の癇にさわります。
「養い娘のお房さんというのがあるのに、どうして、そのお夏さんというのを嫁にすることになったんです」
平次の最初の問いはこういったものでした。
「お夏の父親は私の昔の友達で、恩がありますよ。それに、倅がお夏でなきゃと言うので――」
和助の顔には苦渋の色がアリアリと刻み付けられました。