Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
杉之助は口を緘みました。貧しい住居ですが、机も本箱も鎧櫃も槍もあり、本箱にはむずかしい四角な文字の本が一パイ詰っている様子が、ひどく平次を頼母しがらせます。同じ家中から、浪人したにしても、高利を貸して大身代を拵えた宗方善五郎とはなんという違いでしょう。
「それじゃこれを御覧下さいまし」
平次は懐中から半紙一枚の遺書を出して、有峰杉之助の前に皺を伸ばします。中気になってから書いた、宗方善五郎の乱れる筆跡のうちに、生命に対する根強い執着と、有峰杉之助に対する恐怖がありありと読み取れるのです。
「なるほど、こういった遺書を書く気になったかも知れぬ。宗方善五郎は気の毒な男じゃ」
「この遺書一つで、お気の毒だが旦那は縛られるかも知れません。それより仔細はこうこうと手軽におっしゃっちゃ下さいませんか」
「左様」
有峰杉之助はなかなか口を開く様子もありません。
「これを御存じですか、旦那」
平次は縫いつぶしの古い紙入を取出しました。
「知っている段か、拙者の品だ、――どこで――」
「宗方善五郎の殺された部屋の前にありましたよ」
「ほう、無一物の紙入が、一人で歩くとは知らなかった、――がそんなことがあるようでは黙っているわけにも行くまい。