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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

「何にも知りませんよ。あれほどの騒ぎがあったんだから五間と離れない私の家へ聞えないはずはないんですが、一杯飲んで寝たのと、大雪のせいでしょう。雪の降る晩というものは、不思議に物音が聞えないものですね。同じ屋根の下でも階下に寝ていたお鶴坊が知らないくらいですから」

静かな調子と重厚な感じの物腰が、この中老人をひどく穏やかにします。中老人といっても佐野喜の主人と同年配の、せいぜい四十七八でしょうか、もとはよく暮したというのが本当らしく言葉の調子にも、身のこなしにも、なんとなく品格の匂う人柄でした。

「ところでお前さんたった一人で暮していなさるのかい」

「ヘエ――、悪い月日の下に生れましたよ。女房に死なれた翌る年、騙りに引っ掛って身上を仕舞い、その二年後には娘に死なれたんですから。天道様を怨む張合いもありません」

幸右衛門は長い眉を垂れました。この上もなく静かですが、動乱する心の中の悲しみは平次にもよく解ります。

「佐野喜を怨む筋はなかったのかい」

「最初は良い心持ではございませんでした。納得して金に換えた娘でも、親から見れば買い手が怨めしくなります。でも、二年目に病気になると、たった五十両で親許に帰してくれました。