Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「お峰、お前は階下へ行ってよい」

不意に岩太郎はお峰が邪魔になったのです。この縮緬皺の寄りそうになった年増女は妖艶ではあるだろうが、厚塗にした白粉も、唇一パイにさした紅も、大袈裟な表情も、媚をまき散らす肢体も、岩太郎の眼には急に嫌らしく、汚らわしく、浅ましく映って来たのでした。

「お銚子の代りを持って来ましょうか」

お峰は立ち悩みながら、つまらない用事にしがみつきました。

「いや、よい、――それには及ばないよ」

「――」

お峰はもう返す言葉もなく、怨めしそうに二人を見比べて、そっと座を立ちました。それを見送るお滝の瞳が、どんなに絶望的で、痛々しいものであったか、追わるるお峰も、追う岩太郎も、気が付かなかったことでしょう。

暫く経ちました。

「来い、お滝」

岩太郎は立ち上ると、逃げ腰になったお滝の手首を無図と取りました。

三

「親分、とうとう三人目がやられましたよ」

ガラ八の八五郎が、明神下の平次の家へ注進に来たのは、その翌日の早々でした。

「誰が、どうしたんだ」

平次はまだ起き出したばかり、楊枝をくわえての応対です。

「出雲屋岩太郎が、とうとう小梅の寮でやられましたよ」