Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
ノッブに手をかけて躊躇した。
コツ、コツ、コツ、……まだ歩き廻っている人の足音、確かにこの部屋だ。
闘争を予期する猛獣のため息。
サッと開かれる扉。
黄金仮面は一歩敷居の中へ踏み込むと、仮面の細い目で、部屋中を見廻した。
ガラス窓を通して、洪水の様に、部屋にあふれる月の光。その青白い月光をあびて、片隅に立ちはだかっていたものは、……流石の怪賊黄金仮面も、ギョッとして、立ちすくんでしまった。
この部屋にはそんな大きな鏡はなかった筈だ。それにも拘らず、黄金仮面自身の影が、そこに映っている。
イヤイヤ、影ではない、もう一人の黄金仮面が、突如として、月光と共にこの部屋に降って湧いたのだ。
アア、何という美しくも異様なる光景であったか。寸分違わぬ扮装の、二人の黄金仮面は、互に相下らず、肩を張り拳を握って、睨み合った。皮肉に笑う二つの三日月型の口、不気味に無表情な二つの金色の顔、それが月の光にキラキラと輝いているのだ。
読者は已に想像されたであろう。そこに立っていたもう一人の黄金仮面は、我等の素人探偵明智小五郎の扮装姿に外ならぬのであった。
血を啜り肉を啖ってもあきたらぬ、仇敵と仇敵、正義の巨人と邪悪の怪人とは、思いもかけず、この美しき月光の部屋に相対したのである。