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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

噂に聞いた三日月型の口がキューッと横に拡がって、今にもその隅から、タラタラと真赤な血が流れ出すのではないかと怪しまれた。

彼女は呼鈴を押すどころではなく、何が何だか無我夢中で、頭から毛布を引かぶると、ひとりでにガタガタ鳴り出す歯を、グッと噛みしめて、油汗を流していた。失神しなかったのが寧ろ不思議な程である。

暫くすると、ドア一重向うのアトリエの中に、ただならぬ物音が起り始めた。恐らく数人の悪漢が忍び込んで、何かを盗み去ろうとしているのだ。ドタンバタンと、まるで引越しの荷造りでもしている様な騒ぎだ。

「アア分った。黄金仮面は美術品に不思議な執着を持っているということだから、あの物音はきっと、お父さまのお刻みになった仏像を盗み出そうとしているに違いない」

絹枝さんは、怖さに気も狂い相な中で、幽かにそんなことを考えていた。

毛布を引かぶった、汗ばんだ闇の中に、長い長い時がたった。夜が明けて、日が暮れて、又夜が明けて日が暮れて、絹枝さんには、数日が経過した程も、長い時間に感じられた。

実際は、恐らく三時間程もたったであろう。ふと耳をすますと、いつの間にか、隣室のやかましい物音がやんで、底知れぬ静寂の中から、殆んど信じ得られぬ様な、朗かな鶏の声が聞えて来た。