Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
「どういう風にもなってやしませんよ」と、お島は笑っていたが、父親の口吻によると、彼はお島の最初の手紙によって、てっきり兄のために体を売られて、ここに沈んでいるものと思っていた。そして東京では母親も姉も、それを信じているらしかった。
それで父親は、今日のうちにも話をつけて、払うべき借金は綺麗に払って、連れて帰ろうと主張するのであった。
お島はその問題には、なるべく触れないようにして、父親の酒の酌をしたり、夕飯の給仕をしたりすると、奥の部屋に寝転んでいる浜屋の主人のところへ来て、自分の身のうえについて、密談にを移していたが、お島を返すとも返さぬとも決しかねて、夜になってしまった。
「人の妾なぞ私死んだって出来やしない。そんな事を聴したら、あの堅気な人が何を言って怒るかしれやしない」
浜屋が自分で、直に父親に話をして、当分のうちどこかに囲っておこうと言出したときに、お島はそれを拒んで言った。そうすれば、精米所の主人に、内密で金を出してもらって、T――市の方で、何かお島にできるような商売をさせようと云うのが、浜屋の考えつめた果の言条であった。春の頃から、東京から取寄せた薬が利きだしたといって、この頃いくらか好い方へ向いて来たところから、近いうち戻って来ることになっている嫁のことをも、彼は考えない訳に行かなかった。