Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
盃がすむと、お島は逃げるようにして、自分の部屋へ帰って来た。それまでお島は綿帽子をぬぐことを許されなかった。
着替をして、再び座敷の入口まで来たときには、人の顔がそこに一杯見えていたが、手をひかれて自分の席へ落着くまでは、今日の盃の相手が、作であったことには少しも気がつかなかった。折目の正しい羽織袴をつけて、彼はそこに窮屈そうに坐っていた。そして物に怯えたような目で、お島をじろりと見た。
お島は頭脳が一時に赫として来た。女達の姿の動いている明いそこいらに、旋風がおこったような気がした。そしてじっと俛いていると、体がぞくぞくして来て為方がなかった。
「どうだい島ちゃん、こうして並んでみると万更でもないだろう」青柳が一二杯猪口をあけた時分に、前屈みになって舐めるような調子で、私とお島の方へ声をかけた。
吸物椀にぎごちない箸をつけていた作は、「えへへ」と笑っていた。
お島は年取った人達のすることや言うことが、可恐しいような気がしていたが、作の物を貪り食っている様子が神経に触れて来ると、胸がむかむかして、体中が顫えるようであった。旋てふらふらと其処を起ったお島の顔は真蒼であった。