Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
いつも通るところとみえて、鶴さんは仕立物などを散かしたその部屋へいきなり入っていこうとしたが、おゆうは今日は更まったお客さまだから失礼だといって、座敷の床の前の方へ、お島のと並べてわざとらしく座蒲団をしいてくれた。
「そう急に他人行儀にしなくても可いじゃありませんか」鶴さんは蒲団を少しずらかして坐った。
「いいじゃありませんか。もう極のわりいお年でもないでしょう」おゆうは顔を赧めながら言って、二人を見比べた。
「貴女ちっとは落着きなさいましてすか」おゆうはお島の方へも言をかけた。
「何ですか、私はこういうがさつものですから、叱られてばかりおりますの」お島は体よく遇っていた。
「でもあの辺は可うございますのね、周囲がお賑かで」おゆうはじろじろお島の髷の形などを見ながら自分の髪へも手をやっていた。
性急の鶴さんは、蒲団の上にじっとしてはおらず、縁側へ出てみたり、隠居の方へいったりしていたが、おゆうも落着きなくそわそわして、時々鶴さんの傍へいって、燥いだ笑声をたてていたりした。広い庭の方には、薔薇の大きな鉢が、温室の手前の方に幾十となく並んでいた。植木棚のうえには、紅や紫の花をつけている西洋草花が取出されてあった。