Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
絵の好きであった彼は、十六七の時分には、絵師になろうとの希望を抱きはじめたが、それも母親に遮られて、修業らしい修業もしずにしまった。
寝るにも起きるにも、自分ばかりを凝視めて暮しているような、年取った母親の苛辣な目が、房吉には段々厭わしくなって来た。そして何時の頃からか時々顔を合す機会のあった、おゆうの懐かしい娘姿に心が惹つけられた。どんなことがあっても、おゆうちゃんを嫁に貰ってくれなければならない、房吉のそう言った辞が、母親の口から大秀やおゆうの耳へも入れられた。
結婚してからも、どうかすると、おゆうから離されて、房吉が気鬱な母親の側に寝かされたり、おゆうが夜おそくまで、母親の側に坐って、足腰を揉ませられたりした。夜更に目敏い母親の跫音が、夫婦の寝室の外の縁側に聞えたり、夜の未明に板戸を引あけている、いらいらしい声が聞えたりした。
お島が来てからも、おゆうが物蔭で泣いているようなことが、時々あった。
家にいても、大抵きちんとした身装をして、庭の方は職人まかせにして、自身は花を活けたり、書画を弄ったりして暮している内気な房吉は、どうかすると母親から、聴いていられないような毒々しい辞を浴せられた。