Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

つとめて眼に立たないようにはしているけれど、こうして男ばかりの乗客の中へ、息をはずませて乗り込んでみると、誰もその脂の乗った年増盛りに眼を惹かれないわけにはゆかないようです。この女は、両国橋の女軽業の親方のお角であります。

「庄さん、それでもよかったね、もう一足後れると乗れなかったんだわ」

「いいあんばいでございましたよ」

お伴であるらしい若い男は、歯切れのよい返事をして、

「皆さん、少々御免下さいまし、おい、小僧さん、ここへ敷物を二枚くんな。親方、これへお坐りなさいまし、ここが荷物の蔭になってよろしうございます」

船頭の子から敷物を二枚借り受けて、酒樽の蔭のほどよいところへ、それを敷きました。帆柱の下にあたる最上の席は、もう先客に占められているのだから、まあ、この若い者が見つくろったあたりが、今では恰好のところであろうと思われます。

お角は遠慮をせずにその席へつくと、若い者がその傍へ、両がけの荷物を下ろして、どっかと坐り込みました。

「なんだか天気がちっとばかりおかしいけれど、明日の朝の巳の半ごろには木更津へ着くって言いますから、案じるがものはありますまいねえ」