Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

若い者が空を仰ぐと、お角も空模様を見て、

「降りはすまいけれど、なんだか、いやに蒸すようじゃないか」

程経てこの船が海へ乗り出した時分に、帆柱が押立てられて、帆がキリキリと捲き上げられると、船は遽に勢いを得て、さながら尾鰭を添えたようであります。乗合の人も、大海へ出た心持になりました。そこへ船頭が立ちはだかって、乗合の客の頭数を読み上げて、

「ちょっとお待ちなさいよ、乗合の衆はみんなでエート二十三人でござんすね、二十三人、間違いはございませんね」

駄目を押すと乗合の客は、いずれも面を見合せて黙っています。そこで船頭はもう一ぺん乗合の頭の上を見渡して、

「それで、女のお客さんは……エート、おかみさんお一人ですね、女のお客さんは一人しか無えんでございますかね」

と言って船頭は、例のお角の面をじっと見つめています。

「ええ、わたし一人のようですよ」

お角はわるびれずに答えました。

「そうですか、それじゃあ、どうかこっちの方へおいでなすって下さいまし、その帆柱の下においでなさるお年寄のお方、済みませんがそこんところのお席を、このおかみさんに譲って上げておくんなさいまし」