Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「おや、福村さん」

と言って、お絹は愛想よく迎えました。お角に言わせればこの人は福兄で、ここへ来ては福村さんになる。前の時は奴風で、ここではもう若党に早変りしているのが、化物屋敷の化物屋敷たる所以でありましょう。

若党の福村は座敷へ入って、しきりにお絹と話をしていたが、暫くして、

「これから大将のお伴と化けて、番町まで出向かにゃならん、今日はこれで失礼」

と言って、慌しく辞して行きました。

お絹は、それを見送っていましたが、やがてハタと障子を締めきって、

「面白くもない」

つんと机に向き直って頬杖をつき、すこぶる不機嫌の体であります。それは実際、お絹にとっては面白くないことでしょう。今の福村の話というのは要するに、お角を賞めに来たようなものなのです。お角が房州まで出かけて行って、あやうく命拾いをして帰った上に、掘出し物を買い込んで来るし、それに大名だか旗本だか知らないが、ともかくも身分あるらしい立派な金主をつかまえて、近日花々しく両国橋で、二度の旗揚げをしようという運びになっていることを福村が、お絹の前で話して、相変らずあの女の腕の凄いことを吹聴して行きました。