Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

お絹の前で、お角の腕の凄いことを吹聴するのは、つまりお絹の腕のないことをあてこすりに来たとひがまれても仕方がない。イキとハリとになっているのを、福兄が知らないはずはなかろうと思われます。女軽業にしろ、見世物にしろ、女の腕一つで、一旗揚げようというのはともかくエライことでないことはない。そうして切って廻して屋敷へまで吹聴に来られるのを、指を啣えて見せつけられるのは、お絹として納まらないことであるのは申すまでもないことです。

「忘れた、忘れた、印伝の煙草入を忘れてしまった」

一旦出て行った福村が後戻りして来たから、何かと思うと煙草入を忘れているのです。なるほど、火鉢の下に転がっているのは、ほんものか擬いか知らないが、とにかく印伝革の煙草入であります。

福村は無精に、縁側から手を突き出して、

「済みませんが突き出しておくんなさい、でもその印伝はほんものだから安くねえんだ、ほんものだということで両国橋の太夫元が、おれにくれたんだ、だから、おいらにとってお安くねえ代物だ」

「持っておいで」

お絹はゲジゲジでも摘むように、その印伝の煙草入を取り上げると、ポンと縁側へ抛り出しました。