Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

で、どこをどう歩いて来たか、その夜になって、もう琵琶を袋へ納めて背中へ廻し、家路に帰ろうとする気配で通りかかったのは、例の柳原河岸です。

「もし、ちょいと」

河岸の柳の蔭から呼ぶものがありました。呼ばれる前に立ってしまった弁信は、

「はい、どなたか私をお呼びになりましたか」

そう言って例の法然頭を左右に振り立てました。

「ちょいと」

柳の蔭で、声ばかりが聞えます。その声は若い女の声であります。

「お呼びになったのは私のことでございますか、何ぞ私に御用でございますか」

「そんなに四角張らなくってもいいじゃありませんか、遊んでいらっしゃいな」

「エ、私に遊んで行けと言うんでございますか、あなた様のお宅はドチラでございますか」

「何を言ってるんです、こちらへいらっしゃいよ」

「あの、琵琶を御所望でございましょうな」

「琵琶? そんなものは知りませんよ、そんなことはどうだっていいじゃありませんか」

「いいえ、よくはございません、わたくしは琵琶弾きなんでございますよ、眼が不自由なもんでございますからね、それで、琵琶を弾いて、人様からお恵みを受けているような身の上でございます、琵琶も私のは平家でございますから、薩摩や荒神のように陽気には参りませんでございます、それに、私も未熟者でございましてね、あんまり上手とは申し上げられないんでござい