Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
お銀様にとってはついぞ見たことのない人、しかもそれは年増盛りの水気の多い女の人、この辺ではあまり見かけない肌合の、小またの切れ上った女の人が余念なく自分の方を見ていたから、お銀様もまぶしそうにその年増の女を見返していると、向うから丁寧に腰をかがめて笑顔を見せました。お銀様もそれに返しのお辞儀をしました。
「ムクや、ムクや」
その年増の女の人が、やさしい声をして犬を呼びました。果してこの犬の名をムクという。ムクの名を知っている上は、お君に縁ある人に違いない、と思っているうちに、その年増の女は土手を下って、お銀様に近い川の岸の蛇籠の傍へやって来ました。
この年増の女、お銀様にはまだ知己のない人でしたけれども、これはお君のもとの太夫元、女軽業の親方のお角であります。ここでムク犬が、お銀様とお角とを引合せる役目をつとめました。
「ちょうど一昨日の夕方でありました、うちの男衆がこの出水で雑魚を捕ると申しまして、四手を下ろしておりますと、そこへこの犬が流れついたのでございます、吃驚してよく見ると、この犬が人間の着物をくわえてそこまで泳いで来ていたものでございますから、驚いて人を呼んで、その人をお助け申して家へお連れ申しましたけれど、どこのお方やら一向にわかりませんので……幸いに呼吸は吹き返しましてただいま、宿に休んで