Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
お松はせっかくの兵馬の無心を、充分に満足させることのできぬのを、ひとかたならず悶えるように見えます。
「ともかく、それだけを借用したい、あとはまた何とか工夫するから……」
「お待ちなさいませ」
お松は自分の部屋へ取って返して、紙入れに入れたままを兵馬の手に渡しながら、
「あとは、あの、わたしから御老女様へお願い申してみましょうか」
「御老女へ……それはいかん」
兵馬は頭を振りました。
「でも、急なお入用ならば、わたしから御老女様へお願いしてみるのがいちばん近道と思います、快く聞き届けて下さるに違いありません」
「しかし、この金の入用な筋道は、御老女様には話せない」
「いったい、何に御入用なんでございます」
「実はそなたの前で言うのも恥かしいが、これから吉原まで行かねばなりませぬ」
「まあ、吉原へ、あんなところへ、これから?」
と言ってお松も、さすがに呆れたけれど、兵馬の吉原へ行くという意味は、そんなわけのものでないことを知っています。そうしてともかくも、相当の大金を持って、あの里へ行こうというのには、何か重い用向きのあることを察しないわけにはゆきません。それを自分にうちあけられてみると、どうしてもお松として、兵馬が望むだけの金を拵えてやらねば済まない心持になりました。