Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
矢は糸を引くように、一文字に空を切って、同心の手にある鉄炮の、ちょうど撃鉄の下のあたりに、発止と当った。だーん、という銃声と共に、鉄炮は火と煙を噴いたが、銃口は脇へそれていた。
以上の出来ごとは、殆んど瞬時に起こった。来太が絶叫して、とびかかってから、せいぜい呼吸三つか五つくらいの、短い時間だったろう。山にこだまする、大きな銃声で、敵も身方もはっと息をのんだ。
そのしんとした刹那に、「しずまれ、刀をひけ」という平四郎の叫びが、高く、はっきりと聞えた。
「荷駄はとおってよい、しずまれ」
声はよく徹った。互いに抜き合い、まさに争闘が始まろうとする、そのでばなであった。平四郎の声に応じて、駕の前にいた登世もまた、小扇を振りながら制止した。
「次高さんおやめなさい」
そこへ、菱屋庄兵衛が、弓に二の矢をつがえたまま、静かに馬を(下郎に口を取らせて)乗り入れて来た。平四郎は両手をあげ、なお声いっぱいに、「仔細はない、通ってよろしい」と叫んだ。
「どうしたのだ、なんだ次高」
「なに、もういい」
来太は庄兵衛にすばやく頷いて、それからみんなに手を振りながら、平四郎の前へ近よっていった。