Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
と云った。
半之助は眼をみはった。仮面をぬいだ登世を見て、半之助は、花世だと思ったのである。
――そんな筈はない。
漁夫をつとめた娘こそ、躯つきも声も、まぎれなく花世であった。その娘は、もう舞台をおりているが、彼は自分の眼に誤りがあったとは、とうてい思えない。
――ではあれは誰だ。
半之助がそう戸惑いをしているあいだ(もちろん極めて短い時間のことだったが)に、登世は、太鼓を打っていた下座の者から、鳥を受取り、まだ激しく羽ばたいている、その鳥を、右手に捧げて、武者たちに呼びかけた。
「みんなよくお聞き」
初めは低い声であった。そして、神殿の内陣にいた、みどう清左衛門が立って、なにごとか叫び、きざはしの下の、部将すがたの一人が、舞台のそばへ歩み寄った。彼は登世の話を制止しようと、したらしい。登世は続けた。
清左衛門が、さらになにごとか命じ、その部将すがたの武者は、舞台にあがろうとした。すると、登世はすさまじいほどの、怒りの身振りをし、叫びだした。篝火をうつして、宝冠がきらきらと光り、武者たちのほうへふり返った顔が、強くひきつって、妖気を放つようにみえた。