Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
「――というと」
「一種の賄賂というやつさ、はっきり云うとごきげんとりだね」
「――すると」
主馬はふと思い当ったように頷いた。
「縁談というわけだな、あの法事の日に来ていた人だろう」
「どうして知っている」
「どうしてって、正木の失言で、われわれはこの家へ来ざるを得なくなったじゃないか、あのとき給仕に出たんで、拝見したのさ」
「そんなふうがみえたんだな」
「明らかに、嫁の候補者という、ようすだったね」
「つまり、それさ」半之助は盃を下に置いた、「いつか話したと思うが、谷町というのは立身出世主義と、物欲の固まりのような人間なんだ、父も嫌っていたし、おれもとうてい好きにはなれない」
「しかも、みこまれたわけか」
「それもおれの人間をみこんだのではなく、要するに頭数の問題さ、老人は少将(柳沢吉保)にとりいって、自分の勢力を拡張することに狂奔している、おれに娘を呉れて、陣笠の数を殖やそうというつもりなんだ」
「そしてお母さんは、そうなさりたい、というわけか」
「まだあからさまには、云わないがね」
半之助はにがい顔をした。
「そうだとすると、よほど警戒しなければいけないな」
主馬が云った。