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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなかたは私は存じません」とふるえながら彼女が答えた。

「知らんはずはない、僕は……」と甲刑事は少しく怒気を含んだ様子で前へにじり寄ると、検事はそれを押さえて、

「まあまあ君はだまっていたまえ」といいながら娘の方に向きなおりました。

「かくしちゃためにならんよ、この方がすっかり見たんだから、何でもどっかの職工長をつとめている男で、右の手がなかったということだが……」

娘は「職工長」とか「右の手がない」とかいう言葉をきくと、前よりも一層ひどく、眼に見える程ふるえて、とみには返事もできない様子だったが、それでも、やっと蚊のような声で答えました。

「いいえ、私はちっとも存じません。それは何かの人ちがいでございましょう」

「その男は、お前に麻酔薬をかがしておいて覆面をして母屋の方へ忍びこみお前のおやじさんをふんじばって、現金や証書をすっかり強奪していったのだ。どうだ、麻酔薬をかがされたことを知っとるだろう?」

娘の眼には一瞬間異様な閃きが輝きました。彼女は何かじっと考えこんでいるような様子でした。弓田警部は娘の様子を非常な注意を払って観察していました。

「そうそう」