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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

と娘は最前とは打って変わった様子で口をきき出しました。「そうおっしゃれば、何だか十二時頃に黒い覆面をした男が、不意にあの樹陰からやってきて、私の鼻へ何か臭いものをあてがったように思います。……それにちがいありません。よくおぼえています……」

弓田警部はこの時署長の傍へよって、

「もうこの娘さんをしらべるのはよしましょう。この女はゆうべカルモチンをのみすぎて少し薬がききすぎたんですよ。母屋の泥棒とは何の関係もないのです。いくらたずねても本当のことをいうはずはありません」

こういいながら彼はカルモチンの箱をポケットから取り出して、その場に置きました。

「これが証拠です。それから、右手のない男ももうさがす必要はありますまい。その男はたしかに、ここへ来たことは来たに相違ありません。裏木戸で二人に誰何されて逃げ出したことも事実でしょう。けれども、若い者同士の楽しみを、あんまり穿鑿するのは罪じゃありませんか。隠している仲を世間に知られちゃ誰でも決まりが悪いですからね。ご覧なさい。この娘さんの顔が何もかも語っています」

娘は顔を火のようにしてうなだれてしまいました。