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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

なことをしたり申しあげたりしたかも知れませんがどうぞおゆるし下さいませ。いずれお目にかかる機会でもございましたら、おわび申し上げますが、とりあえず乱筆にておわびいたします。――妾はこれだけ書いて、大急ぎで封をして、胸をどきどきさせながら、近所のポストへ投函しました。

妾は手紙を投函してしまうとすぐに後悔しました。あの人はもう昨夜のことなどは何もかも忘れているかも知れないのに、女の方から、こんなはしたない手紙を出すなんて……

妾は自分の心が形のあるものなら、眼の前へ曳きずり出して、さんざん打ちのめしてやりたい衝動を感じました。と同時に、どうせ手紙を書くくらいなら、あんな通り一ぺんな手紙ではなくて、妾の心の中に思っている通りを残らず書いてしまえばよかったと思いました。いずれにしても、あの手紙のために、妾は、あの人からこの上なくさげすまれるにきまっているような気がして、いてもたってもいられませんでした。

ところが、その日の午過ぎに速達郵便が着きました。表には差出人の名は書いてありませんでしたが、妾はすぐにあの人からだと直覚しました。まだあの人の筆跡を見たこともなかったのですが、どういうものかそう直覚したのです。