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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうちに、わたしは恐ろしいことに妊娠したのでした。それからというもの、お腹の中の子供がもしや博士の罪の子ではないかと、そればかりを思いわずろうて、一日だって心の安らかな日はありませんでした。しかしいよいよ分娩してみると、子供の顔が博士の顔にそっくりなのです。わたしは産褥であの子の顔を見たときはっと思った瞬間に気を失ったのでした。あとで考えると、いっそ、あのまま消え入ってしまえばよかったと思います。とにかくもうこうなった以上は夫に秘密にしておくわけにはゆかないものですから、その翌日わたしは博士にお願いして子供だけひきとっていただいて、わたしはわたし自身で自決しようと覚悟をきめて、博士にそのことを打ちあけたのでございます。すると、博士がどう言ったとお思いですか?――俺はそんな子供には覚えはない――とこうなんです。さんざんわたしをなぶり物にしておいて、用がなくなると、今度は何もかも否定してしまって自分の責任をのがれようとするのです。

わたしはこの言葉をきいて、もう二の句がつげませんでした。そうなるとわたしの方が強くなります。このことをすっかり、夫に告白して夫のさばきを待つより外はないとわたしは、涙も流さずに、きっぱり博士に告げたのです。