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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

今日は、この手紙をご覧になったら、何もかも奥さんに白状しておしまいなさいね。妾の手紙もみんな見せておしまいなさい。

T子

N様

あの人はやっぱり妾のことを考えている。やっぱり人間だった。はじめから考えていた通りの、しっかりした、正しい、神様のような人だった。

妾は、久しぶりで朗らかな気持ちで、あの人の帰りをまっていた。

あの人が書斎へはいると、いつものように妾は鍵穴から中を覗きに行った。今日はその必要もないと思ったのだけれど、やはりそうせずにはおけなかったのだ。

あの人は、やはりいつものように手紙を読みおわってから、ゆっくり煙草をふかした。だが五分間ほどすると急に起ち上がった。そして、本棚のあちこちから、本を抜き出し、ページの間から、一つずつオパール色の手紙をとり出した。無慮二十通位の手紙がバナナのように机の上に積み重ねられた。妾は、あんなに沢山の手紙が出てきたことと、あの人が、その手紙のありかを一々掌をさすようにおぼえていたことに、驚いてしまった。

あの人は封筒の中から一々中味を抜きとって、それをデスクの上に重ねた。みんなオパール色の、同じサイズのレター・ペーパーだったので、よく揃った。