Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
訳に行かぬ、けれど少し合点の行き難いは、何うして何時の間にお浦を殺し何時の間にアノ室で其の死骸を隠し、何時の間に死骸の首を刎て爾して何時の間に堀の底へ沈めただろう、勿論余は秀子の一挙一動を監視して居る訳ではなく其の後一週間も寝て居たのだから其の間に秀子が何の様なことをしたかも知れぬ、或いはお浦を投げ倒したとき、実は床板をでも外して有って、余の耳に投げ倒した様に聞こえたのは其の実床の下へ投げ込んで置いたので夜に入って床下から引き出し卓子掛けに包んで堀へ持って行ったのかも知れぬ。
けれど余は秀子が其の様な事をする女とは思わぬ、イヤ少くとも此の時は未だ思わなんだ、アノ美しい顔で、若しも此の様な事をするとせば、人間第一の看板とも云う可き顔の美しさは何の値打ちもなくなって了う、尤も今までとても顔の美しさに似ぬ心の恐ろしい女は有りはするけれど、顔は七部通りまで愛情の標準にもなる、大抵の愛は顔を見交したり又は顔に現われる喜怒哀楽を察し合ったりする所から起こる者だ、若し秀子の様な美しい顔が美しい心の目録でないとすれば、全く人間の愛情や尊敬などの標準は七部まで破壊されて了うではないか。