Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lesen Sie 幽霊塔 (ゆうれいとう) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 266.479 Zeichen · 532 Bildschirme
足を蹈みしめ早や此の室を立ち去ろうとする様子である、余は熱心に「イヤ秀子さん、茲を立ち去る前に何とか無事の地へ逃れる丈の工風を相談して定めませねば」余は秀子が明日にも探偵森主水の為に捕縛されるだろうとの念が有る為に斯う云うた、全く何処か無事の地へ、縦しや当分の間なりとも逃して置く外はない、秀子は此の声に又一入腹を立つ様に、余に振り向いて「逃れるとは何を逃れるのです、罪もないのに」余「イヤ、探偵森主水が貴女を捕縛する許りに成って居るのをヤット私が二日だけ猶予を請うたのです、二日の間に私は貴女の清浄潔白な証拠か証人かを得る為に巴里へ行き、今帰る所ですが、既にお聞きの通り其の目的を達せずに来たのですから、茲で三人の智恵を以て、何うか当分の貴女の身の隠れ場所及び其の方法を定めねば」余の言葉の未だ終らぬに戸の外から「イヤ二日の猶予は既に切れたのですから其の相談の無益と云う事をお知らせに、ハイ此の森主水が参りました」と云って此の室へ這入って来る者が有る、見れば確かに、先刻忍び提灯で此の家の門札を読んで居た怪しい男である、是が森主水であったとは驚いた。