Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.482 Zeichen · 160 Bildschirme
だった。もうこの花が出る時候になった。
――手帖も今になくなるかもしれないよ
ちり紙など、包み紙など非常に欠乏して居るそうだ。皆で喋って、一寸静かになった時Y、
――苅田さんの弟も、自殺した、
と云った。Yこの間から何かあったのではないかと云って居たところであった。
――手紙が来たの?
――ひどい手紙だ。
すきを見て、Yの出してくれた巻紙をひろげた。短い手紙、心あまって書ききれぬ、そういう圧力のこもった苦しい手紙だ。
「春めくにつれ耐え難く思われます」
最後にこうある。この感じせまって来て切なかった。
社会の波が弟にも打ちよせたことを苅田さんも感じて居るが、落胆のしようがひどい。生活力を全然うばわれて居るらしい。
この感じ、自分が英男に死なれた後の心持と相通ずるものがある。自分にはきびしい孤独感となって来た。非常に失った感じ、一生のはり合いを失った感じ。
苅田さんの弟は芸術的の苦しみ、自分の才能に対する絶望から死んだのだろうか。英男は謂わば私に挑戦状をのこして死んだ(考え方生き方に於て)
自分は泣きつつ、生意気な! と思った。このようにしか考えられなかった。