Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

た。

「君は僕の鞄の中のものを見ましたか」

そういって彼にじっと見つめられますと、何の恐れる所もない筈の私までが、多分まっ青になっていたことでしょう、動悸が早くなって、腋の下からタラタラと冷いものの流れるのを感じました。

「見ました」

私は相手を興奮させない様に、出来るだけ低声で、然し本当のことを答える外はありませんでした。

「不審に思いましたか」

「不審に思いました」

そして暫く沈黙が続くのです。

「君は恋というもののねうちを御存じですか」

「多分知っていると思います」

それはまるで学校の口頭試験か、法廷の訊問でありました。普通の際なれば、直にも吹き出してしまう所でしょうが、その滑稽な問答を、私達はまるで果し合いの様な真剣さで続けたものです。

「それでは、恋のためのある過失、それはひょっとしたら犯罪であるかも知れません、少しも悪意のない男のそういう過失を、君は許すことが出来るでしょうか」

「多分出来ます」

私は十分相手に安心を与える様な口調で答えました。私はその際も、河野に好意を感じこそすれ、決して反感は抱いていなかったのですから。

「君はあの事件に関係があったのですか。