Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
ところが、四五日以前、警察の大がかりなトランク捜索がはじまる頃には三造も自分の所業に恐れを抱きはじめました。そして、その唯一の証拠品であるトランクを、風呂竈で焼くことを思いつきました。人の寐静まった頃を見はからい、トランクをこわしては、少しずつ焼き捨てて行くのです。僕は現にそれを隙見していたのですが、まさか対岸の村まで獣皮の匂いが漂って行こうとは思いませんでした。いうまでもなく、これが死体を焼く匂いと間違えられた訳です。僕はかつて、外国にもこれと似た事件のあったことを聞いています。何でも田舎の一軒家の煙突から盛んに黒煙が出て、火葬場の匂いがするものですから、村人が騒ぎ出し、てっきり死体を焼いているものと思って調べて見ると、あにはからんや、古靴かなんかをストーヴに投げ込んだものと分りました。その家の主人がある殺人事件の嫌疑者だったために飛んだ騒ぎになったのです。
しかし、僕はその当時そこまで考えた訳ではありません。ただもう途方に暮れてしまったのです。もしこの愚者の軽挙から事の真相がばれる様なことがあってはと、それが先ず心配でした。で、少しでも発覚を遅らせる意味で、僕は三造を逃亡させようと計りました。