Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
警察で彼を疑い出したことを、それとなくほのめかし、彼を怖わがらせたのです。悪人にしろ、そこは愚ものの事です。僕の計画を見破るどころか、トランクを盗んだということから、直に殺人の嫌疑までかけられるものと思い込み、丁度村の巡査が僕を訪ねて来た日です、彼は例の紙幣の束だけを風呂敷包みにして、彼の故郷である山の奥へと逃げ出したのです。僕は計画がまんまと成功したのを喜び、寧ろ彼を護衛する様な心持で、そのあとを尾行しました。
ところが、その途中、あの桟道の所で、思いがけぬ出来事が起ったのです。余りに道を急いだために、三造は崖から辷り落ちて変死をとげてしまったのです。僕は大急ぎで下におりて、介抱して見ましたが、最早や蘇生の見込みはありません。考えて見れば可哀相な男です。悪人といっても、それは彼の白痴と同様、彼自身にはどうすることも出来ない生れつきだったのでしょう。それを僕の利己的な気持から逃亡を勧めたばかりに、彼はもっと活きられた命を、果敢なくおとしてしまったのです。僕は非常な罪を犯した様な気がして、無慙な死骸を正視するに耐えず、兎も角、紙幣の風呂敷包みだけを拾って、急を知らせるために宿へ引返しました。