Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
病気だといってしまったものですから、好きでもないお粥をたべさせられる、何かやりたくても寝床を出ることは出来ず、私は、いつもの事ながら、今更学校へ行かなかったことを後悔し初めました。
私はわざと雨戸を締切って、自分の気持にふさわしく部屋の中を暗くして置きましたので、その隙間や節穴から、外の景色が障子の紙に映っています。大きいのや小さいのや、はっきりしたのやぼやけたのや、沢山の同じ景色が、皆さかさまに映っているのです。私は寝ながらそれを見て、ふと写真器械の発明者の話などを思い出していました。そして、どうかしてあの節穴の映像の様に、写真にも色彩をつけることは出来ないものかなどと、どこの子供も考える様な、夢の様な、しかし自分では一かど科学者ぶったことを空想するのでした。
やがて、見ている内に、障子の影が少しずつ薄くなって行きました。そして、遂にはそれが消えてしまうと、今度は真白く見える日光が、同じ節穴や隙間から、まぶしくさし入るのでした。ゆえもなく学校を休んでいるやましさから、私はもぐらもちの様に日光を恐れました。私はいうにいわれぬ、いやあな、いやあな心持で、頭から蒲団をかぶると、眼をとじて、眼の前にむらがる、無数の黄色や紫の輪を、甘い様な、いまわしい様な変な感じで眺めたことであります。