Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
読者諸君、私のお話は、余りに殺人事件と縁が遠い様に見えます。しかしそれを叱らないで下さい。こうした話振りは私の癖なのです。そして、この様な幼時の思い出とても、その殺人事件に、まるで関係のない事柄ではないのですから。
さて、私は又蒲団から首を出しました。見ると、私の顔のすぐ下に、ポッツリと光った個所があります。それは節穴から這入った日光が、障子の破れを通って、畳の上に丸い影を投げていたのです。無論、部屋全体が暗いせいでしょうが、私はその丸いものが、余りに白々と、まぶしく見えるのを、ちょっと不思議に思いました。そして、何げなく、そこに落ちていた例のレンズを取ると、私はそれを、丸い光の上にあてがって見たことでありますが、そうして、天井に映った、化物のような影を見ると、私はハッとして思わずレンズを取落しました。そこに映ったものは、それ程私を驚かしたのです。なぜといって、薄ぼんやりではありましたが、その天井には、下の畳の目が、一本の藺の太さが二尺程に拡大されて、小さなごみまでがありありと映っていたからです。私はレンズの不思議な作用に恐怖を感ずると共に、一方では又いい知れぬ魅力を覚えました。