Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「オオ、父上――その父上がなんとあるのじゃ」
「じつはお討死とは表向きで、まことは、天目山の峰つづき、裂石山雲峰寺へいちじお落ちなされて、世間のしずまるころをお待ちなされたうえ、このほど身をいぶせき旅僧にかえられ、ひそかに、京都へお入りあそばした由にござります」
「えッ!」
はたして伊那丸のおどろきは一通りではなかった。
勝頼――と父の名をきいただけでも、はやその眸はうるみ、胸は恋しさにわななくものを、まだ存命ときいては、そぞろ恩愛の情あらたにひたひたと胸をうって、歓喜と驚愕と、またそれを、怪しみうたがう心の雲が入りみだれる。
「ではなんといやる、父上にはなおご武運つきず、旅の僧となって、都へおちゆかれたと申すのか――蔦之助もっとくわしゅう話してくれ」
「されば、まだことの虚実は明確に申しあげられませぬが、東海道――ことに徳川家の家中においてはもっぱら評判いたしております。それゆえ、なお浜松の城下まで入りこみまして、ふかく実否をさぐりましたところ、その旅僧を勝頼なりといって、隠密組の菊池半助、京都へ追跡いたしました」
「ウーム、さては真にちがいない」
心そぞろに、伊那丸のひとみは燃える。