Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
とたんに、
「卜斎ッ、うごくな!」
馳けだしてきた竹童。
童髪かぜに立って夜叉のようだった。砦とともに死のうと覚悟をしている彼。
ひゅーッと、紫をかいて走ったのは般若丸の飛閃! あッと、卜斎は首をすくめ、肩をはすにかわして、斬りすべってきた竹童の腕をつかんだ。
「親方ッ、手をかすぜ」
蛾次郎はうしろから寄って、あけび巻の山刀、ザラザラと引っこ抜いて、スパーッと竹童の背すじを斬ったつもり。
腕もなまくら、刀も赤錆、上着一枚きれはしない。
「じゃまだ、どけッ」
つかんだ相手の腕くびをしめて、卜斎、
「ええッ!」
と吠えたかと思うと、おそろしい強力で、ブーンと竹童のからだをふり、鞠でもとって投げるように、扇縄の水の手へ、かれの小さなからだをほうりこんだ。
ドボーン……と、まっ白な水柱があがった。まんまんとして毒水の波紋がよれる。ガバ、ガバ、と二つ三つ苦しげな息をしているうちに、波紋にまかれ、竹童のかげは、青ぐろい池のそこへ見えなくなった。
五
ここは平和だ。あかるい朝。
まだ草の根には白い霧がからんでいる。
向こう側の傾斜を見ると、芝を掃いたようなやわらかさである。