Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
」
「たった一つあるんです。わたしも、戦争後、いろいろなものを、なくしてしまいましたが、わたしのうちのたからと言ってもいいものが、一つだけ、たいせつに保存してあるのです。」
「フーン、あいつは、それをねらっていると、おっしゃるのですね。で、それは、いったい、どんなものです。」
「あなたは真珠塔というものを、ごぞんじですか。高さ二十センチぐらいの五重の塔で、それに真珠の玉がビッシリとはりつめてあるのです。何百ともしれぬ最上の真珠でできた、宝玉の塔なのです。この真珠塔は大正時代の大博覧会に、三重県の真珠王が出品したもので、なくなったわたしの父がそれを買いとったのです。そのころのねだんで十万円でした。今で言えば三千万円に近いものです。あの目に見えないやつは、宝石商から首飾りをぬすんだそうですが、あの首飾りの何十倍という、ねうちのあるものです。あいつは、それを知って、つけねらっているのじゃないかと思うのですよ。」
「その真珠塔はどこにおいてあるのですか。」
「だれも知らない場所にかくしてあります。わたしが真珠塔を持っていることは、世間でも知っているでしょうが、それがどこにあるかは、わたしと家内のほかは、だれも知りません。