Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
とつぶやいた。
素子の顔に、面白そうな皮肉な輝きがうかんだ。
「そりゃ蜂谷さんたちは学者なんだから、うっかりソヴェト同盟へなんか行けないさ」
学者というところに、あるアクセントをつけて素子は云った。
「――お勤め先の関係で?」
「そんなことじゃないさ――ねえ、そうでしょう?」
正体をかくしたまま、鋭いものをふくんで迫る素子の語調を、蜂谷は少し不愉快そうにかわした。
「行けないと、きまったもんでもないさ」
「そりゃそうでしょうがね――蜂谷さんは今でも、中共も意味があり、蒋介石にも役割があるっていう論法ですか」
そういう風に質問が展開したのは伸子に思いがけなかった。同様に蜂谷としても予想しなかったらしく、
「――いやによくおぼえているんだな」
てれたようだった。
「少し失礼な云いかたかもしれないが、あなたがた学者とか教授とかいう人たちは、思ったより、ほんとの知識欲ってものはうすいもんなんですね。外国へ来て見て、留学中と称する諸先生にあって、しみじみそう思うなあ。みんな、これまでの自分のもちものに、ちょいと何か無難な新知識をつけ足すだけで、本当に人生観が新しくなるとか、これまでの考えかたをすっかり変えなけりゃならないかもしれないような冒険は、こっそりさけている。