Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ミセス・レイマンの手紙にある和一郎夫婦の「前途多幸な未来」という文句を、伸子は、言葉に出して誰にいうこともできない懐疑をもって見つめた。ミセス・レイマンにとって懐古的な思いをそそるばかりのプロスペラスという言葉、戦後、ひとしお激しい資本主義経済の波に追いまくられて、ロンドン市内の生活を支えきれず、郊外の一隅へなげだされたささやかな中流の一家。あからさまに言ってしまえば、伸子は、和一郎の代になってからの佐々の家の未来に、ミセス・レイマンが経た生活の推移と大差ない過程を予感しているのだった。
泰造と多計代とはミセス・レイマンとその息子のジャック・レイマンを、少し改まった午後の茶に招いた。七十歳ちかい母親であるミセス・レイマンと三十歳になったばかりというジャックの上に、大戦を境とするロンドンの中流人の経済的な世代のちがいが、あんまりくっきり描き出されていて、伸子は苦しいようだった。ミセス・レイマンはその老年にかかわらず、レースの訪問着はややつかれているにかかわらず、いくらか頬の艷があせているだけで、イギリス婦人らしいしっかりとした骨格と血色を失っていなかった。