Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
日ごろ、伸子は佃のことにかかわったところのない心持で生活していた。日本にいたころ、佃の住居のある町を電車で通ったりするとき、そこいらの角から不意に佃があらわれはしまいかと思って、身のひきしまる思いだったのは、別れて当座のことだった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ立って来る前に、渋谷からタクシーで、佃の住んでいる町の角々に目をとめて、冷たいいとわしさで通りすぎてから、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でも、伸子の心に悔恨の感情は湧いたことがなかった。不思議に佃の夢を見なかった。伸子は、佃が次の家庭をもっていて、彼としての満足のうちに生活していることを、よかったと思っていたのだった。そういう佃の幸福は、佃のものであった。佃の幸福の内容が伸子の感じる幸福感とちがう性質のものであるからこそ、伸子は彼といられなかった。羨しさとは、自分にも同じそれが欲しい心に生れる思いであった。伸子は、佃のところであり得る幸福からは、逃れたのだ。
日光のおどる芝生の間の小道を歩きながら伸子の心に、人の生きかたの哀さの思いが湧いた。
短い幸福をうけて四十五歳で死んだ佃も、そのように短い間の彼の幸福のために努力して、より大きい努力の必要のうちに三人の子供とともにのこされた夫人のめぐり合わせも、伸子には、気の毒に