Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「わたし、つい、ここまでいっぱいだもんだから」
藍色と白のまじった変り編みの毛糸ブラウスを女学生らしく着こなしている伸子は、ふっくりした顎の下へ自分の手の甲をあてて見せた。
伸子と蜂谷良作が話しているところは、モンソー公園の最も美しい場所とされている池のわきだった。岸に柳が長く垂れて、睡蓮の葉が浮んでいる池のおもてに、円柱の列が、白い影をおとしている。木洩れ日でぬくめられている石のベンチに、二人はかけていた。日本で云えば、はじに似た高い樹の梢が金色にそまっていて、水にうつる影の中で大理石柱の白さや、そこに絡んでまだ紅葉には早いつたの葉の青い繁りを、あざやかにひきたてている。
伸子はパリへかえって来る早々、こんなにして、蜂谷と話し込むことがあろうと思っていなかった。パリで蜂谷にまた会うことがあるかないか、それさえ伸子は気にしていなかった。けれども、偶然こうして会って話していると、素子と一緒に暮していたら毎日なしくずしに彼女に話さずにいなかっただろうと思われるロンドンでの印象を、伸子はみんな蜂谷にきかせることになった。素子がモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ立ってから、伸子はほとんど隔日にロンドンだよりを書いていた。