Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
カウンターのところで始ったおかしな掛け合いが、すっかりその人々に見えもすれば、きこえもする。エレヴェーターへの出入りも、一旦カウンターの横を通らずには出来なかったから、伸子は、そこでいわばさらしものめいた立場だった。
伸子は、たくみにおかれた自分のそういう位置を意識するよりもよりつよく、白眼のどろんとしたマネージャーのおしかぶせた態度に、反撥した。
「あなたは、おそろしく率直です」
伸子は、ちっとも自分の声を低めないで云った。マネージャーの男は、伸子に向ってほとんど怒鳴っている、と云っていいぐらいの大声をだしているのだった。
「あなたのホテル経営法は、どういう性質のものだかわかりました。しかしね、わたしはホテルの室代としてきまった料金を払っています、一〇パーセントのティップを加えて。――わたしは豪奢な客ではなくても、あなたのホテルにとってちゃんとした客です」
「わたしどもは、もっとずっと多く、あの部屋から利益を得ることができるんだ」
まるで、カウンターのまわりに動いている人々に、自分のうけている損害を訴えかけでもするように視線をおよがせながら、マネージャーは大仰にこめかみのところへ手をあてがった。